Nature ハイライト
人間行動学:AIが抱える道徳的ジレンマ
Nature 563, 7729
人工知能の技術が進歩するにつれ、機械が道徳的に曖昧な状況においてどのように振る舞うかについての社会的な懸念が浮上しており、機械の振る舞いに関する原則の開発はこうした懸念によって導かれるべきである。自動運転車の振る舞いに対する社会的期待についての議論に情報を提供しようと、I Rahwanたちは今回、インターネット上の実験プラットフォーム「モラル・マシン」を展開し、その結果を報告している。このプラットフォームでは、自動運転車が関わる道徳的シナリオに対する世界的な態度や優先傾向について、200万人以上の人々から意思決定データを集め、調査が行われた。得られた結果からは、異なる複数の文化における優先傾向について、前例のない全体像が明らかになった。これらの優先傾向の一部は普遍的であった(より多くの命またはより若い人の命が救える方を選ぶなど)が、中には文化間での倫理的な違いも見られた。著者たちは、これらのデータが、自動運転車の倫理に関して社会的に許容される原則を開発する上での、社会的議論や政策議論の出発点になることを望んでいる。
2018年11月1日号の Nature ハイライト
量子物理学:運動を測定し制御する
人間行動学:AIが抱える道徳的ジレンマ
神経科学:脊髄損傷後の歩行の回復
電子工学:思ったより簡単な高周波数データリンク上での盗聴
化学:塩基を用いない鈴木–宮浦カップリング
神経科学:運動を計画中の脳
神経科学:師匠に学ぶ
微生物学:ブルース・トリパノソーマの抗原変異の制御
生物学的手法:神経系統に関わる胚盤胞補完法は前脳器官形成研究を可能にする
構造生物学:エボラウイルス核タンパク質–RNA複合体のクライオ電子顕微鏡構造