Nature ハイライト
化学:塩基を用いない鈴木–宮浦カップリング
Nature 563, 7729
有機ホウ素試薬とハロゲン化アリールの鈴木–宮浦クロスカップリング反応は、合成において最も広く用いられている変換反応の1つである。広く用いられる理由の1つは、さまざまな基質に対する寛容性である。しかし、反応における塩基の使用が重要な制約となっている。塩基は、数多くの有機ホウ素試薬の分解を誘発するため、そうした試薬の使用が制限されているのである。今回M Sanfordたちは、ニッケル触媒を用いたアリールボロン酸と酸フッ化物(カルボン酸からin situで形成される)の塩基を用いない鈴木–宮浦カップリングを報告している。ニッケル触媒と酸フッ化物の組み合わせにより、脱カルボニル化を経て反応中間体が生じ、クロスカップリング反応が進む。この反応は、塩基に敏感なボロン酸を用いるプロベネシド(痛風薬)の誘導体化や、他のさまざまな一般的な医薬品の誘導体化によって実証された。今回の反応は、空気中で安定な市販の触媒を用いて行うことができる。
2018年11月1日号の Nature ハイライト
量子物理学:運動を測定し制御する
人間行動学:AIが抱える道徳的ジレンマ
神経科学:脊髄損傷後の歩行の回復
電子工学:思ったより簡単な高周波数データリンク上での盗聴
化学:塩基を用いない鈴木–宮浦カップリング
神経科学:運動を計画中の脳
神経科学:師匠に学ぶ
微生物学:ブルース・トリパノソーマの抗原変異の制御
生物学的手法:神経系統に関わる胚盤胞補完法は前脳器官形成研究を可能にする
構造生物学:エボラウイルス核タンパク質–RNA複合体のクライオ電子顕微鏡構造