Nature ハイライト
生態学:土壌線虫類の全球マッピング
Nature 572, 7768
土壌生物相は、全球的な生物地球化学的循環において中心的な役割を担っていて、土壌の肥沃度や、二酸化炭素などの気体の大気との交換に影響を及ぼしている。これまで、線虫類などの、活動的な土壌生物の個体数や機能的組成について高分解能で定量的な理解を生み出すことはできなかった。J van den Hoogenたちは今回、6759の線虫群集試料に基づいて、土壌線虫の全球規模での密度と生物量について、空間明示的で定量的なマップを作製している。このマップからは、線虫類は世界中の表層土に生息しているが、亜寒帯域では温帯域や熱帯域よりも個体数が多いことが明らかになった。著者たちは、これらの知見によって、全球の生物地球化学的モデルにおいて土壌生態学的プロセスを表現するための道が開かれると強調している。
2019年8月8日号の Nature ハイライト
物理化学:衝突し合う低温分子
生態学:土壌線虫類の全球マッピング
幹細胞:ヒト肝細胞アトラス
生物工学:生物学的オルソゴナル制御
天文学:高赤方偏移の可視光では見えない銀河の大規模な種族
材料科学:積層グラフェンを調節可能な超伝導体に
水文学:一時的な強い降雨による効率の良い地下水の涵養
進化生物学:紅藻類に近縁な捕食者
代謝:微生物はリシンを取り込むことで酸化ストレスから自身を守る
がん:細胞競合は腫瘍発生を促進する