Nature ハイライト
代謝:微生物はリシンを取り込むことで酸化ストレスから自身を守る
Nature 572, 7768
グルタチオンとNADPHは、酸化ストレスを防いで適切な細胞機能を維持する上で重要な役割を担っている。V Olin-Sandovalたちは今回、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)が酸化ストレスに対処するために編み出した、これまで知られていなかった戦略について報告している。酵母が環境からリシンを取り込み、それを使って代謝をつなぎ替えると、NADPHをより節約してより大きなグルタチオンプールを維持できるようになり、ストレス耐性が上昇する。取り込まれたリシンの細胞内濃度は、増殖に必要な濃度よりも2桁高くなることもある。これを可能にするのは、リシンをカダベリンへと変換する、基質許容性の非常に高い酵素反応である。この予防的かつ条件的で強力な代謝抗酸化剤戦略は、出芽酵母だけでなく、他の微生物細胞でも見つかった。
2019年8月8日号の Nature ハイライト
物理化学:衝突し合う低温分子
生態学:土壌線虫類の全球マッピング
幹細胞:ヒト肝細胞アトラス
生物工学:生物学的オルソゴナル制御
天文学:高赤方偏移の可視光では見えない銀河の大規模な種族
材料科学:積層グラフェンを調節可能な超伝導体に
水文学:一時的な強い降雨による効率の良い地下水の涵養
進化生物学:紅藻類に近縁な捕食者
代謝:微生物はリシンを取り込むことで酸化ストレスから自身を守る
がん:細胞競合は腫瘍発生を促進する