Nature ハイライト
材料科学:積層グラフェンを調節可能な超伝導体に
Nature 572, 7768
超伝導体は、電気抵抗なしに電気を通すことのできる物質である。最初の超伝導理論は1957年に報告されたが、このモデルで記述できない非従来型超伝導体が数多く存在する。こうした非従来型超伝導物質の特性は調節が難しいため、その根底にある物理を探ることは困難である。最近、2層グラフェンを用いて非従来型超伝導が観測され、より制御しやすい有望な新しいプラットフォームが得られている。しかし、2層グラフェンを必要な魔法角だけずらすことは困難である。今回F Wangたちは、3層グラフェンにおいて調節可能な超伝導の特徴が現れることを報告している。この3層グラフェンは、積層の様式は特殊だが、角度をつける必要はない。そうした系では、電子の相互作用や特性を電気的に制御できるため、非従来型超伝導体の基礎となる物理を調べる魅力的な代替手法が得られる。
2019年8月8日号の Nature ハイライト
物理化学:衝突し合う低温分子
生態学:土壌線虫類の全球マッピング
幹細胞:ヒト肝細胞アトラス
生物工学:生物学的オルソゴナル制御
天文学:高赤方偏移の可視光では見えない銀河の大規模な種族
材料科学:積層グラフェンを調節可能な超伝導体に
水文学:一時的な強い降雨による効率の良い地下水の涵養
進化生物学:紅藻類に近縁な捕食者
代謝:微生物はリシンを取り込むことで酸化ストレスから自身を守る
がん:細胞競合は腫瘍発生を促進する