Nature ハイライト
分子生物学:相分離の調節
Nature 573, 7772
最近の研究で脚光を浴びている話題は、膜を持たない多様な細胞内区画の形成に相分離が極めて重要な役割を果たしていることである。このような区画としてはストレス顆粒や核小体などがあり、特定の機能を果たしている。しかし、相分離した区画の動態については、解明がなされていない。今回K Weisたちは、RNA依存性のDEADボックスATPアーゼ(DDX)が、このような動態の全ての段階を調節していることを明らかにしている。ATPを結合したDDXは相分離を促進するが、ATP加水分解が起こると区画が崩壊してしまう。DDXは区画へのRNAの流入と流出も制御する。これらの知見は、細胞内でのリボ核タンパク質複合体の調節についての手掛かりをもたらすものだ。
2019年9月5日号の Nature ハイライト
神経科学:ヒト大脳皮質細胞タイプの高分解能アトラス
免疫学:周期的圧力のPIEZO1によるメカノセンシングは免疫を活性化する
神経科学:進行性多発性硬化症における細胞タイプおよび進行段階に特異的な変化
天文学:クエーサーにエネルギーを供給する高速のインフロー
ナノ科学:魔法角ねじれ2層グラフェンにおける分光観測
有機化学:含フッ素アミド構成要素の直接的合成
地球科学:小地震も大地震も同じように始まる
古生物学:太古の眼から得られた新たな視点
生態遺伝学:異なる気候でシロイヌナズナのゲノムが受ける選択
神経生理学:ストレスの管理
分子生物学:相分離の調節