Nature ハイライト
神経科学:進行性多発性硬化症における細胞タイプおよび進行段階に特異的な変化
Nature 573, 7772
多発性硬化症(MS)は、自己免疫が原因で引き起こされる進行性の脱髄性疾患である。D Rowitchたちは今回、MS患者の脳試料を用いて単一核塩基配列解読を行い、進行段階特異的および細胞タイプ特異的な遺伝子発現変化を調べた。その結果、皮質ニューロンに加えて、オリゴデンドロサイト、反応性アストロサイト、ファゴサイトーシスを行う活性化ミクログリアにおいてさまざまなストレス経路が上方に調節されており、組織浸潤性のBリンパ球、形質細胞および段階特異的な間質細胞サブタイプからなる凝集体が形成されること、さらに、灰白質病変と白質病変でアストロサイトに多様性が見られることの証拠が示された。この研究は、細胞標的および分子標的、そして進行性MSを特徴付けるバイオマーカー候補をはっきりと示しており、将来の新規治療法の開発のための有益な情報となり得る。
2019年9月5日号の Nature ハイライト
神経科学:ヒト大脳皮質細胞タイプの高分解能アトラス
免疫学:周期的圧力のPIEZO1によるメカノセンシングは免疫を活性化する
神経科学:進行性多発性硬化症における細胞タイプおよび進行段階に特異的な変化
天文学:クエーサーにエネルギーを供給する高速のインフロー
ナノ科学:魔法角ねじれ2層グラフェンにおける分光観測
有機化学:含フッ素アミド構成要素の直接的合成
地球科学:小地震も大地震も同じように始まる
古生物学:太古の眼から得られた新たな視点
生態遺伝学:異なる気候でシロイヌナズナのゲノムが受ける選択
神経生理学:ストレスの管理
分子生物学:相分離の調節