Nature ハイライト
がん:細胞の代謝が細胞状態の前悪性から悪性への移行を調節する
Nature 573, 7775
腫瘍抑制因子p53は、膵臓がんで喪失していることが多く、がん細胞の代謝を調節することが知られている。S Loweたちは今回、膵臓の腫瘍形成の初期段階で、p53が代謝を変化させて、重要な代謝物α-ケトグルタル酸(αKG)を増加させることを示している。αKGのレベルが上昇すると、DNAの5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の増加が引き起こされ、これが遺伝子発現を変化させて、細胞の分化を誘導した。p53の喪失により5hmCが減少すると、前悪性から脱分化した悪性への細胞状態の移行が促進された。αKGの生成に関与する代謝物を調節することで、p53が存在しなくても腫瘍形成を抑制できる。
2019年9月26日号の Nature ハイライト
電子材料:仕事関数をどこまで低くできるか?
免疫学:膜で組み立てられたTCR–CD3の高分解能クライオ電子顕微鏡構造
物性物理学:圧力下の水素
化学合成:ペルセアノールの合成
地球化学:キンバーライトは深部の孤立したマントル貯蔵庫に由来する
古生物学:明らかになった最初期の鋏角類
免疫学:細胞の生死の運命を決める可変抵抗器としてのDDX3X
がん:細胞の代謝が細胞状態の前悪性から悪性への移行を調節する
分子生物学:B細胞のV(D)J組換え機構
生化学:翻訳開始を単一分子蛍光顕微鏡で観察
生化学:低障壁水素結合を見る