Nature ハイライト
生化学:低障壁水素結合を見る
Nature 573, 7775
低障壁水素結合(LBHB)は、電気陰性度が同じような原子間でほぼ均等に共有される水素結合を指す。その存在はしばらく前から想定されていたが、その生物学的機能についての証拠はほとんどなかった。今回K Tittmannたちが、2種類のチアミン二リン酸依存性酵素の活性部位をつなぐプロトンワイヤーにLBHBが役割を担っていることを示す構造的、また生物物理学的証拠を報告している。高分解能X線構造解析によって、LBHBが直接可視化された。1つの活性部位での触媒反応が起こったという連絡はLBHBに依存して行われ、アロステリックシグナルが伝達されて、ニュートンのゆりかごのようにプロトンワイヤーに沿ってプロトンが再配置されていく。この研究によって、LBHBが酵素の協同性と結び付けられた。
2019年9月26日号の Nature ハイライト
電子材料:仕事関数をどこまで低くできるか?
免疫学:膜で組み立てられたTCR–CD3の高分解能クライオ電子顕微鏡構造
物性物理学:圧力下の水素
化学合成:ペルセアノールの合成
地球化学:キンバーライトは深部の孤立したマントル貯蔵庫に由来する
古生物学:明らかになった最初期の鋏角類
免疫学:細胞の生死の運命を決める可変抵抗器としてのDDX3X
がん:細胞の代謝が細胞状態の前悪性から悪性への移行を調節する
分子生物学:B細胞のV(D)J組換え機構
生化学:翻訳開始を単一分子蛍光顕微鏡で観察
生化学:低障壁水素結合を見る