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生化学:低障壁水素結合を見る

Nature 573, 7775

低障壁水素結合(LBHB)は、電気陰性度が同じような原子間でほぼ均等に共有される水素結合を指す。その存在はしばらく前から想定されていたが、その生物学的機能についての証拠はほとんどなかった。今回K Tittmannたちが、2種類のチアミン二リン酸依存性酵素の活性部位をつなぐプロトンワイヤーにLBHBが役割を担っていることを示す構造的、また生物物理学的証拠を報告している。高分解能X線構造解析によって、LBHBが直接可視化された。1つの活性部位での触媒反応が起こったという連絡はLBHBに依存して行われ、アロステリックシグナルが伝達されて、ニュートンのゆりかごのようにプロトンワイヤーに沿ってプロトンが再配置されていく。この研究によって、LBHBが酵素の協同性と結び付けられた。

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