Nature ハイライト
核物理学:原子核の鏡映非対称性の解明
Nature 580, 7801
陽子と中性子は、質量が類似していて、同じような強い相互作用を有しているので、原子核の物理を記述する便利な方法は、それらが本質的に同じでたった1つの量子数、すなわちアイソスピンだけで特徴付けられると考えることである。このアイソスピン対称性では、鏡映数の陽子と中性子を持つ核の対が同様のエネルギー準位構造を示す必要がある。しかし、陽子は荷電粒子であるので、電磁力によってこの対称性が(弱く)破れ、励起核状態にのみ関連することが多い小さなアイソスピン対称性の破れへの寄与が生じる。今回、米国の国立超伝導サイクロトロン研究所における短寿命同位体の実験によって、73Srとその鏡映核73Brの基底状態の間の大きな違いが明らかになった。この観測結果から、束縛核の基底状態における鏡映対称性の破れを示す証拠が得られたことで、原子核内部で働く力に関する知見が得られるかもしれない。
2020年4月2日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核の鏡映非対称性の解明
量子物理学:浮揚したダイヤモンドのスピンと運動の結合
有機化学:化学反応の可能性のマッピング
有機化学:光によって形成される強力な還元触媒
海洋保全:南大洋の生態系の衛星追跡
がんゲノミクス:中国人男性の前立腺がんのゲノムアトラスとエピゲノムアトラス
発生生物学:ヒトの分節時計の特性解析
発生生物学:分節時計の特性解析
発生生物学:ヒトの分節時計のモデル化
細胞生物学:アポトーシス細胞の代謝物セクレトームが、周辺の細胞の遺伝子発現プログラムに影響を与える
胚形成:受精後のゲノム構造の動的変化