Nature ハイライト
細胞生物学:アポトーシス細胞の代謝物セクレトームが、周辺の細胞の遺伝子発現プログラムに影響を与える
Nature 580, 7801
日常的な恒常性維持の一環として体内で毎日起こる多数の細胞の代謝回転のうち、90%以上はアポトーシスによるものである。細胞がアポトーシスを起こすことが決まった後も、アポトーシスプログラムの完全実行までには、多くの場合、数分から数時間かかる。今回K Ravichandranたちは、アポトーシス細胞の細胞膜の完全性がまだ維持されているこの暫定期間に、アポトーシス細胞は代謝物を調節しながら放出することによって周辺の細胞に情報を伝えられると報告している。このような代謝物は、例えば炎症の抑制や創傷治癒の促進など、周辺の組織の遺伝子発現パターンに影響を及ぼすことが分かった。炎症性関節炎モデルや肺移植片の拒絶モデルに、選択されたアポトーシス代謝物の混合物を投与すると、病気の重症度を軽減できることが分かった。この研究により、アポトーシス細胞のセクレトームの生成、放出、周辺細胞への生物学的作用が、体系的に明らかになった。
2020年4月2日号の Nature ハイライト
核物理学:原子核の鏡映非対称性の解明
量子物理学:浮揚したダイヤモンドのスピンと運動の結合
有機化学:化学反応の可能性のマッピング
有機化学:光によって形成される強力な還元触媒
海洋保全:南大洋の生態系の衛星追跡
がんゲノミクス:中国人男性の前立腺がんのゲノムアトラスとエピゲノムアトラス
発生生物学:ヒトの分節時計の特性解析
発生生物学:分節時計の特性解析
発生生物学:ヒトの分節時計のモデル化
細胞生物学:アポトーシス細胞の代謝物セクレトームが、周辺の細胞の遺伝子発現プログラムに影響を与える
胚形成:受精後のゲノム構造の動的変化