Nature ハイライト
Cover Story:視線:自動運転車の「視力」を高めるマルチチャネルライダー
Nature 581, 7807
ライダー(lidar)は、自動運転車の基盤技術で、自動車の「眼」として働く。ライダーは、物体にレーザー光を照射し、その反射パルスを測定することによって物体の距離と速度を算出する。このシステムを有効に機能させるには、太陽光などの光源からの干渉を遮断する必要がある。一般にこれはコヒーレント検出を用いて行われており、この検出では送信した光と反射光が混合されて反射光のドップラーシフトが分析される。しかし、この方法は、スケールアップが難しいことが分かっている。今回T Kippenbergたちは、フォトニックチップを用いたソリトンマイクロコムに基づくライダー装置を提示している。光源は周波数間隔が等しい鋭い線からなる広いスペクトルを放射し、これによって30の別個のチャネルにわたる並列測定結果が得られた。著者たちは、このシステムが小型で超並列かつ超高フレームレートのコヒーレントライダーシステムの基礎になる可能性があると示唆している。
2020年5月14日号の Nature ハイライト
天文学:たて座δ型星における脈動モードの同定
量子光学:標準量子限界を超える精度での測定
ナノスケール材料:共有結合2D材料
化学:二酸化炭素電解還元触媒を迅速に見つける
大気科学:都市大気において新たな粒子が形成される仕組み
人類学:アマゾン川流域で栽培されていた初期の作物
神経科学:光が駆動する概日回路は非光駆動性概日回路を調整できる
免疫学:ニューロンによる体液性免疫応答の調節
分子生物学:相分離の複雑性
構造生物学:SARS-CoV-2が受容体に結合する仕組み