Nature ハイライト
構造生物学:SARS-CoV-2が受容体に結合する仕組み
Nature 581, 7807
今回、SARS-CoV-2が細胞の受容体であるACE2に結合する仕組みが2つの研究によって明らかにされている。X Wangたちは、SARS-CoV-2の受容体結合ドメイン(RBD)の結晶構造を2.45 Åの分解能で解明した。一方、F Liたちはスパイクタンパク質(ウイルスの受容体との結合に関わる部分)のキメラを使うという方法によって、同じような構造を明らかにした。このキメラタンパク質では、SARS-CoV-2の受容体結合モチーフがSARS-CoV RBDの骨格中に組み込まれている。2つの研究で得られた構造は共に、SARS-CoV-2がSARS-CoVと似た様式でACE2受容体に結合することを示している。しかし、いくつかの違いも明らかになっていて、これらによってSARS-CoV-2とSARS-CoVの結合親和性の違いが説明されるかもしれない。
2020年5月14日号の Nature ハイライト
天文学:たて座δ型星における脈動モードの同定
量子光学:標準量子限界を超える精度での測定
ナノスケール材料:共有結合2D材料
化学:二酸化炭素電解還元触媒を迅速に見つける
大気科学:都市大気において新たな粒子が形成される仕組み
人類学:アマゾン川流域で栽培されていた初期の作物
神経科学:光が駆動する概日回路は非光駆動性概日回路を調整できる
免疫学:ニューロンによる体液性免疫応答の調節
分子生物学:相分離の複雑性
構造生物学:SARS-CoV-2が受容体に結合する仕組み