Nature ハイライト
環境科学:耕作地の風化の促進によるCO2除去の可能性とコスト
Nature 583, 7815
パリ協定の目標を達成するには、大量のCO2を大気から除去する必要がある。風化の促進は、大規模なCO2除去のために検討されている地球工学的方法の1つである。耕作地へのこの方法の適用は、作物の生産と土壌の健康にも利益をもたらす可能性があることを考えると、特に興味深い。今回D Beerlingたちは、統合モデリングの枠組みを用いて、農地の風化促進を介した大規模なCO2除去の技術経済的可能性を、全球的に評価している。その結果、CO2除去の潜在能力と経済的コストの観点では、風化を促進する方法は大気中の炭素の直接的な捕捉・貯蔵やバイオ炭などの他のCO2除去戦略と同程度に有望であることが見いだされた。化石燃料CO2の三大排出国である中国、米国、インドは、CO2除去の潜在能力が最も高い。この方法を成功させるには、各国が、社会的惰性と政治的惰性を克服し、インセンティブと規制の枠組みを開発する必要がある。
2020年7月9日号の Nature ハイライト
ナノ科学:グラフェンにおける調整可能な相関
量子物理学:量子マイクロチップレット
環境科学:耕作地の風化の促進によるCO2除去の可能性とコスト
遺伝学:数万例の精子ゲノムを解読して減数分裂をより深く知る
がんの進化:発がん性物質により誘導された変異の損傷分離
ウイルス学:センザンコウは複数系統のコロナウイルスを保有している
ウイルス学:センザンコウにおけるSARS-CoV-2に近縁なウイルスの動態
コロナウイルス:SARS-CoVとSARS-CoV-2に交差反応性を示す中和抗体
免疫学:構造細胞は器官特異的な免疫応答を調節する
生化学:窮乏期のリボソーム