Nature ハイライト

コロナウイルス:SARS-CoVとSARS-CoV-2に交差反応性を示す中和抗体

Nature 583, 7815

ウイルスを中和するモノクローナル抗体は、小分子薬やワクチンを開発する際の情報として役立つと考えられ、また予防や曝露後治療のための抗ウイルス戦略となる可能性がある。D Cortiたちは今回、2003年にSARSに感染し、回復した患者の記憶B細胞から単離されたヒトモノクローナル抗体について報告し、この抗体が受容体への結合と競合することなく、SARS-CoVとSARS-CoV-2を強力に交差中和することを明らかにしている。この抗体は、ウイルススパイクタンパク質上の異なる部位を標的とする第二の抗体と組み合わせると相乗的に働くことが分かった。これは、モノクローナル抗体の組み合わせが、中和活性の増強と同時に、中和抗体エスケープ変異体の出現を抑制するための効果的な戦略となる可能性を示唆している。

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