Nature ハイライト
がんの進化:発がん性物質により誘導された変異の損傷分離
Nature 583, 7815
M Taylorたちは今回、マウスモデルでがん変異の損傷分離について報告している。がんは、変異の獲得とその後のクローン増殖によって生じる。変異は、特定の染色体の同一鎖上の初期バーストにおいて誘導される可能性があり、その後の細胞分裂で修復されずに共分離し、その結果、以降の変異で染色体規模の鎖の非対称性が生じる。分離後の損傷を含む鎖は、複数回の複製において鋳型として機能し、その後の腫瘍進化で多対立遺伝子性遺伝的不均一性や複合的遺伝的不均一性を引き起こして、がんゲノムを形作る。著者たちは、ヒトのがんで同様の変異過程の証拠を示しており、変異原誘導性変異での同様のバーストが示唆された。
2020年7月9日号の Nature ハイライト
ナノ科学:グラフェンにおける調整可能な相関
量子物理学:量子マイクロチップレット
環境科学:耕作地の風化の促進によるCO2除去の可能性とコスト
遺伝学:数万例の精子ゲノムを解読して減数分裂をより深く知る
がんの進化:発がん性物質により誘導された変異の損傷分離
ウイルス学:センザンコウは複数系統のコロナウイルスを保有している
ウイルス学:センザンコウにおけるSARS-CoV-2に近縁なウイルスの動態
コロナウイルス:SARS-CoVとSARS-CoV-2に交差反応性を示す中和抗体
免疫学:構造細胞は器官特異的な免疫応答を調節する
生化学:窮乏期のリボソーム