Nature ハイライト
生化学:窮乏期のリボソーム
Nature 583, 7815
細胞が栄養素の欠乏に適応する際には、リボソームが主たる分解標的となる。それは、こういう場合にはタンパク質の産生が減速することと、リボソームはオートファジーを介してヌクレオチドやアミノ酸の重要な供給源になると考えられているからである。今回H Anたちは、栄養ストレスがプロテオームをどのように再編成するかを系統立てて調べるとともに、翻訳、オートファジーや非オートファジーの機構を介したタンパク質の代謝回転、それに細胞分裂の結果がリボソームの希釈に及ぼす相対的な寄与を評価している。ヒト細胞のリボソーム濃度が飢餓の間も維持されるのは、細胞体積とリボソーム数がバランスを取りながら減少するためであることが明らかになり、またリボソームの減少は、リボソームタンパク質の翻訳抑制と、主に非オートファジー経路を介するその分解促進とをうまく釣り合わせることによって達成されていることが分かった。
2020年7月9日号の Nature ハイライト
ナノ科学:グラフェンにおける調整可能な相関
量子物理学:量子マイクロチップレット
環境科学:耕作地の風化の促進によるCO2除去の可能性とコスト
遺伝学:数万例の精子ゲノムを解読して減数分裂をより深く知る
がんの進化:発がん性物質により誘導された変異の損傷分離
ウイルス学:センザンコウは複数系統のコロナウイルスを保有している
ウイルス学:センザンコウにおけるSARS-CoV-2に近縁なウイルスの動態
コロナウイルス:SARS-CoVとSARS-CoV-2に交差反応性を示す中和抗体
免疫学:構造細胞は器官特異的な免疫応答を調節する
生化学:窮乏期のリボソーム