Nature ハイライト
微生物学:アクチノバクテリア類による抗生物質産生の詳細な分子基盤
Nature 590, 7846
ストレプトミセス属のStreptomyces coelicolorなどのアクチノバクテリア門の細菌は、抗生物質を産生する重要な細菌だが、抗生物質の合成を調節する機構は分子レベルではまだ完全に解明されていない。C Correたちは今回、X線結晶学とクライオ電子顕微鏡法を組み合わせて用い、メチロマイシン遺伝子クラスターの転写リプレッサーであるMmfRが、細菌ホルモンAHFCAとの相互作用を介して機能し、これがDNAの放出とその後の遺伝子発現につながる機構の基盤を明らかにしている。構造から得られた一連の手掛かりは、変異誘発と生化学的なアッセイを用いて確認され、関与する個々のアミノ酸残基とホルモン官能基が特定された。今回のような分子レベルの手掛かりは、利用可能な抗生物質を増やすための合成生物学的ツールの開発に役立つと期待される。
2021年2月18日号の Nature ハイライト
材料科学:フレキシブルなX線撮像
持続可能な化学:持続可能な原料から得られるリサイクル可能なプラスチック
気候科学:CFC-11の排出量が再び減少
植物生物学:バイオ燃料生産のためのゲノム情報資源
幹細胞:骨髄における造血の視覚的地図
微生物学:アクチノバクテリア類による抗生物質産生の詳細な分子基盤
エボラウイルス:抗エボラウイルス抗体レベルの増減
がん遺伝学:全ゲノム倍加はがん細胞の脆弱性となる
腫瘍生物学:NSDヒストンメチルトランスフェラーゼの構造と機能
腫瘍生物学:肺がんのドライバー遺伝子
構造生物学:膜の張力を強化する