Nature ハイライト
構造生物学:膜の張力を強化する
Nature 590, 7846
膜から分離して孤立して機能する膜タンパク質は存在せず、全ての膜タンパク質はそれらを取り囲む膜環境の影響を受けている。メカノセンシティブ(機械感受性)イオンチャネルの場合は、膜の張力によってゲートが開閉するので、特にこの影響が顕著である。しかし、これらのタンパク質がどのような仕組みによって機械力を感知するのか、その解明は難しい。今回T Walzたちは、機械力によって活性化されるチャネルMscSについて、多様な膜環境中での構造の特徴を調べている。彼らは、β-シクロデキストリンを使えば膜二重層から脂質を除去でき、これによって二重層の残りがMscSタンパク質の上に広げられ、張力を生じることを見いだした。今回MscSによるメカノセンセーションを可視化できるようにしたこの方法は、他のメカノセンシティブタンパク質の研究にも使えそうである。
2021年2月18日号の Nature ハイライト
材料科学:フレキシブルなX線撮像
持続可能な化学:持続可能な原料から得られるリサイクル可能なプラスチック
気候科学:CFC-11の排出量が再び減少
植物生物学:バイオ燃料生産のためのゲノム情報資源
幹細胞:骨髄における造血の視覚的地図
微生物学:アクチノバクテリア類による抗生物質産生の詳細な分子基盤
エボラウイルス:抗エボラウイルス抗体レベルの増減
がん遺伝学:全ゲノム倍加はがん細胞の脆弱性となる
腫瘍生物学:NSDヒストンメチルトランスフェラーゼの構造と機能
腫瘍生物学:肺がんのドライバー遺伝子
構造生物学:膜の張力を強化する