Nature ハイライト
古代DNA:100万年前の古代DNA
Nature 591, 7849
更新世の北米に生息したコロンビアマンモス(Mammuthus columbi)とケナガマンモス(M. primigenius)は、より以前の年代のユーラシア大陸に生息したメリジオナリスゾウ(M. meridionalis)やトロゴンテリーゾウ(M. trogontherii)の系統から派生した。今回L Dalénたちは、メリジオナリスゾウやケナガマンモスに似た形態を示す前期および中期更新世のシベリアのマンモス3個体について報告している。各標本の年代は、齧歯類の生層序に基づき、Krestovkaが120万~110万年前、Chukochyaが80万~50万年前、Adychaが(追加的な形態データの助けも借りて)120万~100万年前と推定された。著者たちは、マンモス種間の進化的関係をより明確にするため、これら3個体の大臼歯から古代DNAを抽出してゲノム規模のデータを得た。KrestovkaとAdychaの核DNAデータは、これまで得られたものの中で最も古い。系統発生解析および集団遺伝学的解析から、Krestovkaのゲノムの分岐は266万〜178万年前と、コロンビアマンモスとケナガマンモスの分岐のはるか前であったこと、そして、コロンビアマンモスはKrestovkaに代表される古代マンモス系統とケナガマンモスとの交雑の結果生じたことが示唆された。
2021年3月11日号の Nature ハイライト
天体素粒子物理学:宇宙ニュートリノの高エネルギー素粒子物理学
物理学:重力のかけら
計算科学:実時間計算機合成ホログラフィー
地球科学:大地震はどのように破壊するか
古代DNA:100万年前の古代DNA
幹細胞:マクロファージは組織修復中に筋幹細胞を手助けする
植物科学:TORキナーゼと転写調節
SARS-CoV-2:SARS-CoV-2スパイク内の切断部位は病原性に関与する
免疫学:腫瘍微小環境中の制御性T細胞に特異的な代謝チェックポイント
分子生物学:レトロトランスポゾンを制御する
構造生物学:隠されたチャネルを持つ輸送体