Nature ハイライト
微生物学:宿主の飢餓が病原菌を増殖させる
Nature 595, 7866
低カロリー食は体重減少につながるが、そうした食餌の変化が腸内微生物相の組成に直接影響を及ぼすことも知られている。P Turnbaughたちは今回、小規模の介入試験で、厳しいカロリー制限が、体重減少や代謝の健康改善に加え、腸の微生物相の顕著だが可逆的な変化に関連することを示している。意外にも、観察された主な変化の1つは、腸内病原体であるディフィシレ菌(Clostridioides difficile)の増加であり、これには胆汁酸の減少が伴っていた。このようなヒト微生物相をマウスに移植するとこれらの表現型が再現されたことから、病原体が食餌と微生物相の相互作用に影響を及ぼしている可能性が示唆された。これは、代謝の健康改善を目的とした食餌介入を行う上で考慮すべき重要な事項となりそうである。
2021年7月8日号の Nature ハイライト
量子物理学:物質を原子1個ずつ、最大で256個までシミュレートする
物性物理学:レーザーによって形成される二次元電子状態
持続可能性:サプライチェーンの多様性が都市の食料ショックを和らげる
地球科学:流体に富む海山の沈み込みの電磁気的撮像
幹細胞:高脂肪食は薄毛の原因となる
微生物学:宿主の飢餓が病原菌を増殖させる
免疫学:ラクダ科動物ナノボディのマウスモデル
コロナウイルス:COVID-19患者におけるSARS-CoV-2誘導性の自己抗体
医学研究:熱帯熱マラリア原虫に対する化学予防ワクチン接種
がん:免疫回避におけるクロマチンのサイレンシング
構造生物学:血液脳関門を維持する