Nature ハイライト
がん:免疫回避におけるクロマチンのサイレンシング
Nature 595, 7866
免疫チェックポイント阻害剤ががん治療に有効なことは明らかになっているが、実際にはほとんどの患者で効果が見られない。これはおそらく、腫瘍がさまざまな戦略を進化させて、免疫系による検出を回避するためだろう。今回B Bernsteinたちは、CRISPR–Cas9を使って免疫チェックポイント療法に対するがん細胞の感受性を調節するクロマチン因子のスクリーニングを行い、ヒストンH3K9メチルトランスフェラーゼであるSETDB1が失われると、腫瘍が免疫チェックポイント阻害に感受性になることを明らかにしている。SETDB1は転位性遺伝因子と免疫関連クラスターを含むゲノム領域をサイレンシングするので、SETDB1が失われると、潜在性の調節因子の抑制が解除され、転位性遺伝因子特異的な細胞傷害性T細胞応答が引き起こされる。この研究によって、SETDB1が免疫療法の標的になる可能性が確かめられた。
2021年7月8日号の Nature ハイライト
量子物理学:物質を原子1個ずつ、最大で256個までシミュレートする
物性物理学:レーザーによって形成される二次元電子状態
持続可能性:サプライチェーンの多様性が都市の食料ショックを和らげる
地球科学:流体に富む海山の沈み込みの電磁気的撮像
幹細胞:高脂肪食は薄毛の原因となる
微生物学:宿主の飢餓が病原菌を増殖させる
免疫学:ラクダ科動物ナノボディのマウスモデル
コロナウイルス:COVID-19患者におけるSARS-CoV-2誘導性の自己抗体
医学研究:熱帯熱マラリア原虫に対する化学予防ワクチン接種
がん:免疫回避におけるクロマチンのサイレンシング
構造生物学:血液脳関門を維持する