Nature ハイライト
医学研究:熱帯熱マラリア原虫に対する化学予防ワクチン接種
Nature 595, 7866
A Mwakingwe-Omariたちは今回、確立された実験手法を用いて、前赤血球期の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に対する防御を誘導している。無菌的で、純化され、凍結保存された熱帯熱マラリア原虫のスポロゾイトを用いて、クロロキンあるいはピリメタミンによる予防処置を受けたマラリア感染歴のないボランティアに対して免疫感作を行った。その結果、肝臓に感染して少なくとも一部は複製するスポロゾイトを用いて免疫感作することで、感染に対する持続性のある防御が誘導され、この防御は、放射線照射された複製しないスポロゾイトで得られる防御よりも優れていることが実証された。注射する原虫の発育段階や用量を変えることで防御がかなり強化され、また異種株に対する完全な免疫はワクチン接種後少なくとも3か月間維持された。ワクチンには、自然界で循環している多様な熱帯熱マラリア原虫株に対する防御が必要とされるため、今回の結果は重要である。この知見は、このワクチンが実際の環境において、広範に防御性のある完全な免疫をもたらすのに適している可能性を示唆している。
2021年7月8日号の Nature ハイライト
量子物理学:物質を原子1個ずつ、最大で256個までシミュレートする
物性物理学:レーザーによって形成される二次元電子状態
持続可能性:サプライチェーンの多様性が都市の食料ショックを和らげる
地球科学:流体に富む海山の沈み込みの電磁気的撮像
幹細胞:高脂肪食は薄毛の原因となる
微生物学:宿主の飢餓が病原菌を増殖させる
免疫学:ラクダ科動物ナノボディのマウスモデル
コロナウイルス:COVID-19患者におけるSARS-CoV-2誘導性の自己抗体
医学研究:熱帯熱マラリア原虫に対する化学予防ワクチン接種
がん:免疫回避におけるクロマチンのサイレンシング
構造生物学:血液脳関門を維持する