Nature ハイライト
Cover Story:量子運動:捕捉されたナノ粒子の精密測定によって可能になった基底状態への冷却
Nature 595, 7867
表紙は、光トラップを形成する顕微鏡の対物レンズの上に浮揚している、直径150 nmのガラスナノ粒子を示したものである。今回L Magriniたちは、測定に基づく量子制御を用いて、こうしたナノ粒子を室温からその量子基底状態に近い温度まで冷却できることを実証している。彼らは、トラップに捕捉されたナノ粒子によって散乱された光を捉えることで、ナノ粒子の運動を乱す可能性がある、測定に基づく全ての効果を最小限に抑えながら、ナノ粒子の位置の連続的な測定を可能にした。次に、決定されたナノ粒子の軌道を制御系にフィードバックし、その電場をリアルタイムで調節して、ナノ粒子のエネルギーを低くすることにより冷却を行った。一方、L Novotnyたちは同様の実験で、極低温の超高真空装置を用いて、冷却効果を実現している。どちらの論文も、巨視的物体の量子制御への道を開くのに役立つ可能性がある。
2021年7月15日号の Nature ハイライト
惑星科学:若いスーパージュピターの大気に濃縮した13CO
ナノスケールデバイス:量子誤り訂正の第一歩
気候科学:危機に瀕するアマゾン川流域の炭素シンク
生物地球化学:炭素循環とケイ素循環の変遷
進化学:堆積物中の古代DNAから得られた、デニソワ洞窟のヒト族と動物相に関する知見
神経筋疾患:先天性筋無力症の新たな治療法
微生物学:マイクロバイオームの大規模メタボロミクス
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対する長期生存骨髄形質細胞
コロナウイルス:ワクチン接種により、SARS-CoV-2感染で誘導された抗体は増強される
がん:臨床的な尿路上皮がんのctDNAプロファイリング
生化学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを送る仕組み