Nature ハイライト

Cover Story:量子運動:捕捉されたナノ粒子の精密測定によって可能になった基底状態への冷却

Nature 595, 7867

表紙は、光トラップを形成する顕微鏡の対物レンズの上に浮揚している、直径150 nmのガラスナノ粒子を示したものである。今回L Magriniたちは、測定に基づく量子制御を用いて、こうしたナノ粒子を室温からその量子基底状態に近い温度まで冷却できることを実証している。彼らは、トラップに捕捉されたナノ粒子によって散乱された光を捉えることで、ナノ粒子の運動を乱す可能性がある、測定に基づく全ての効果を最小限に抑えながら、ナノ粒子の位置の連続的な測定を可能にした。次に、決定されたナノ粒子の軌道を制御系にフィードバックし、その電場をリアルタイムで調節して、ナノ粒子のエネルギーを低くすることにより冷却を行った。一方、L Novotnyたちは同様の実験で、極低温の超高真空装置を用いて、冷却効果を実現している。どちらの論文も、巨視的物体の量子制御への道を開くのに役立つ可能性がある。

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