Nature ハイライト
進化学:堆積物中の古代DNAから得られた、デニソワ洞窟のヒト族と動物相に関する知見
Nature 595, 7867
ロシアのデニソワ洞窟からはヒト族の遺骸が数多く出土しているが、異なるヒト族集団がこの洞窟に居住した時期と順序、そうした集団の考古学的遺物や環境的背景との関連性についてはあまり分かっていない。今回E Zavalaたちは、デニソワ洞窟の3つの空洞全てにおいて、30万~2万年前の地層断面から堆積物を系統的に採取し、計728点の堆積物試料についてDNA解析を行った結果を報告している。175点の試料からヒト族のミトコンドリアDNA(mtDNA)断片が回収され、この洞窟にはデニソワ人がネアンデルタール人よりも先に居住したこと、そして、この遺跡の歴史全体を通してヒト族集団の入れ替わりが複数回あったことが明らかになった。現生人類のmtDNAは後期旧石器時代の層でしか発見されていない。動物相のmtDNAからは大型哺乳類の入れ替わりも明らかになり、それらが、今回調べられた期間に起こったいくつかの気候変動事象と関連する可能性が示された。
2021年7月15日号の Nature ハイライト
惑星科学:若いスーパージュピターの大気に濃縮した13CO
ナノスケールデバイス:量子誤り訂正の第一歩
気候科学:危機に瀕するアマゾン川流域の炭素シンク
生物地球化学:炭素循環とケイ素循環の変遷
進化学:堆積物中の古代DNAから得られた、デニソワ洞窟のヒト族と動物相に関する知見
神経筋疾患:先天性筋無力症の新たな治療法
微生物学:マイクロバイオームの大規模メタボロミクス
コロナウイルス:SARS-CoV-2に対する長期生存骨髄形質細胞
コロナウイルス:ワクチン接種により、SARS-CoV-2感染で誘導された抗体は増強される
がん:臨床的な尿路上皮がんのctDNAプロファイリング
生化学:神経伝達物質がその受容体を介してシグナルを送る仕組み