Nature ハイライト
免疫学:抗体の成熟がDNA修復を逃れる仕組み
Nature 600, 7888
免疫グロブリンをコードする遺伝子は、抗原特異的な抗体を産生するために、変異を導入する過程を経る。これらの変異はデオキシシチジン(dC)からデオキシウラシル(dU)への脱アミノ化によって起こるが、このような状況においてdUをdCへ戻すDNA修復経路が働かないようになっている仕組みは、これまで分かっていなかった。今回A MartinたちのグループとB Reina-San-Martinたちのグループはそれぞれ、オーファンタンパク質であるFAM72Aを単離し、このタンパク質が、ウラシルをDNAから除去するDNAグリコシラーゼUNG2のタンパク質レベルと活性を抑制する原因であることを明らかにしている。多くのがんがFAM72Aを過剰に発現していることを考えると、FAM72Aが変異量を増加させている可能性があり、この知見はより幅広い意味を持つ。
2021年12月9日号の Nature ハイライト
光物理学:発熱のないフロケエンジニアリング
材料科学:皮膚のような高速電子デバイス
気候科学:二酸化炭素肥沃化が緑化を増大させる
社会科学:オンラインコミュニティーの社会的次元に沿った定量化
神経科学:小脳の飽和化ネットワークの特定
神経科学:ルール破りのヒト皮質ニューロン
発生生物学:ヒトの原腸形成を垣間見る
微生物学:物理的老化過程としての細菌の持続生残性
がん:肺がんの新規発がん融合遺伝子
免疫学:抗体の成熟がDNA修復を逃れる仕組み
生化学:N-デグロン経路の分子レベルでの複雑さ