Nature ハイライト

微生物学:物理的老化過程としての細菌の持続生残性

Nature 600, 7888

これまでの研究から、細菌細胞の一部の集団は、ストレス(抗生物質など)に曝露された後に一過性の休眠状態に入り、それがストレス除去後まで維持されることが示されており、これは「持続生残性」として知られる。こうした持続生残細胞は、増殖を再開すると、確率的に、また、非持続生残細胞よりも遅い速度で増殖し[いわゆる、遅滞による持続生残性(persistence-by-lag)]、これによってさらなるストレス曝露から保護される。今回N Balabanたちは、こうした増殖再開の偶然性と動態を捉えた新しい概念モデルを提案し、このモデルが実験での急性ストレス曝露後の増殖の動力学的測定結果を予測できることを示している。このモデルは、休眠や回復につながる基盤の経路とは無関係で、物理的老化の挙動を再現していた。著者たちは、この一般的なモデルによって、持続生残性が広く見られることや、これを特定の遺伝学的経路と結び付けることの難しさを説明できるかもしれないとしている。

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