Nature ハイライト
免疫学:SARS-CoV-2スパイクに対して生じるポリクローナル抗体の中和範囲
Nature 600, 7889
P Bieniaszたちは今回、感染後やワクチン接種後の血漿によるサルベコウイルスの中和範囲と、多様性が中和抗体価に及ぼす影響について調べている。彼らは、組換え水疱性口内炎ウイルスとシュードタイプHIV-1ウイルスを用いて、回復期血漿やワクチン接種後の血漿に含まれる抗体をほぼ完全に回避するためには、流行しているSARS-CoV-2変異株に現在存在するよりも多くの変異が必要となることを明らかにした。回復期にワクチン接種を受けた人の血漿は、回復期患者あるいはワクチン接種者の血清血漿のどちらよりも、抵抗性シュードタイプを中和し、これは、より親和性成熟したポリクローナル抗体応答によるものであることが分かった。著者たちは、多数の中和回避変異をコードする多変異(polymutant)スパイクタンパク質が、第一世代のSARS-CoV-2ワクチンによって誘導されるポリクローナル抗体の応答範囲を広げる上で役立つ可能性があると結論している。
2021年12月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:電子スピンの蛍光検出
物性物理学:低磁場における分数チャーン絶縁体
化学:簡単になった同位体標識
気候科学:巨大な西南極氷床によって説明された中新世の海水準の不可解な変動
古生物学:ラエトリの足跡はやはりヒト族のものだった
コロナウイルス:COVID-19に対する宿主の遺伝的なリスク要因を解明するための世界的な取り組み
行動科学:応用行動科学におけるメガスタディー法
計算論的神経科学:運動記憶を理解する
進化遺伝学:英国のパンデミックを再構築する
免疫学:SARS-CoV-2スパイクに対して生じるポリクローナル抗体の中和範囲
構造生物学:聴覚の分子基盤