Nature ハイライト
構造生物学:聴覚の分子基盤
Nature 600, 7889
哺乳類は非常に敏感な聴覚を持っている。これは、外有毛細胞(OHC)での電気運動性による信号増幅に依存している。外有毛細胞では、膜を挟んだ電位差が音に反応して細胞の長さの変化が促進され、この過程はタンパク質のプレスチンにより仲介されている。今回E Perozoたちは、プレスチンが電位を感知し、それに応じて周囲の膜に影響が及ぶ仕組みを構造学的に詳しく調べた。膜電位が変化すると、それに応じて非常に高密度のプレスチン集団が伸長または収縮する。著者たちはこの協調した動きがOHCの伸長/収縮につながると考えている。この過程をin situで解明するには、さらなる研究が必要だろう。
2021年12月16日号の Nature ハイライト
量子物理学:電子スピンの蛍光検出
物性物理学:低磁場における分数チャーン絶縁体
化学:簡単になった同位体標識
気候科学:巨大な西南極氷床によって説明された中新世の海水準の不可解な変動
古生物学:ラエトリの足跡はやはりヒト族のものだった
コロナウイルス:COVID-19に対する宿主の遺伝的なリスク要因を解明するための世界的な取り組み
行動科学:応用行動科学におけるメガスタディー法
計算論的神経科学:運動記憶を理解する
進化遺伝学:英国のパンデミックを再構築する
免疫学:SARS-CoV-2スパイクに対して生じるポリクローナル抗体の中和範囲
構造生物学:聴覚の分子基盤