Nature ハイライト
古生物学:歯の進化的起源
Nature 502, 7472
堆積岩にはコノドントエレメントと呼ばれる歯に似た微化石が大量に含まれる場合が多く、そのためこれらは地層の年代特定に広く利用されている。これらのエレメントは、体の軟らかいウナギに似たコノドント類という動物の咽喉にある咽頭の構成要素である。その組織学的特徴は脊椎動物の歯と極めてよく似ているため、歯の出現が口で起こったとする「内から外へ(inside-out)」進化モデルが示唆されている。しかし今回、形態の似ているユーコノドントとパラコノドントのエレメントの微細構造を、シンクロトロン放射X線断層顕微鏡法を用いて比較した新しい研究で、「内から外へ」モデルの解釈に疑問が投げかけられた。得られたデータは、コノドントと有顎脊椎動物の最終共通祖先が石灰化した骨格組織を持たなかったことを示唆していたのである。歯は、顎の出現直後の外皮から内上皮への歯牙形成能力の拡張によって進化したと考えられる。このモデルに基づけば、コノドントエレメントと歯の類似性は平行進化の典型例となる。
2013年10月24日号の Nature ハイライト
神経科学:新たな角度から昆虫忌避剤を探索
細胞:ニッチ内の位置は幹細胞の運命に重要
分子生物学:box C/D酵素が行う連続的メチル化の機構
宇宙:確認された最も遠方の星形成銀河
物性物理学:超伝導体のギャップの理解を深める
材料科学:マイクロ波耐性絶縁体
古生物学:歯の進化的起源
生理:肝臓でのエネルギー代謝の調節
医学:ヒトMX2タンパク質はHIV-1抵抗性因子である