Nature ハイライト
神経科学:新たな角度から昆虫忌避剤を探索
Nature 502, 7472
DEET(ディート、N,N-ジエチル-meta-トルアミド)は60年以上も主要な昆虫忌避剤(虫よけ剤)として使われている化合物だが、その作用機構は完全には分かっておらず、そのため新しい昆虫忌避剤の探索も進んでいなかった。しかし今回A Rayたちが、DEETの作用を仲介する重要な要素を突き止めた。それは、高度に保存されている受容体(Ir40aタンパク質)と、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の触角の小窩様構造にある感覚ニューロン群である。著者たちはさらに探索を進め、天然物、あるいはヒトへの使用がすでに認められている化合物の中から、ハエと蚊でこれと同じ神経回路を刺激する(つまり忌避反応を誘発する)化合物を見つけだした。これらの知見は、DEETに代わる安価で安全で効果の高い化合物の設計に変革をもたらすだろう。
2013年10月24日号の Nature ハイライト
神経科学:新たな角度から昆虫忌避剤を探索
細胞:ニッチ内の位置は幹細胞の運命に重要
分子生物学:box C/D酵素が行う連続的メチル化の機構
宇宙:確認された最も遠方の星形成銀河
物性物理学:超伝導体のギャップの理解を深める
材料科学:マイクロ波耐性絶縁体
古生物学:歯の進化的起源
生理:肝臓でのエネルギー代謝の調節
医学:ヒトMX2タンパク質はHIV-1抵抗性因子である