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神経科学:新たな角度から昆虫忌避剤を探索

Nature 502, 7472

今回、新たに発見された昆虫忌避剤の候補化合物と、それをよける蚊(イメージ画像)。
今回、新たに発見された昆虫忌避剤の候補化合物と、それをよける蚊(イメージ画像)。 | 拡大する

Credit: Pinky Kain

DEET(ディート、N,N-ジエチル-meta-トルアミド)は60年以上も主要な昆虫忌避剤(虫よけ剤)として使われている化合物だが、その作用機構は完全には分かっておらず、そのため新しい昆虫忌避剤の探索も進んでいなかった。しかし今回A Rayたちが、DEETの作用を仲介する重要な要素を突き止めた。それは、高度に保存されている受容体(Ir40aタンパク質)と、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の触角の小窩様構造にある感覚ニューロン群である。著者たちはさらに探索を進め、天然物、あるいはヒトへの使用がすでに認められている化合物の中から、ハエと蚊でこれと同じ神経回路を刺激する(つまり忌避反応を誘発する)化合物を見つけだした。これらの知見は、DEETに代わる安価で安全で効果の高い化合物の設計に変革をもたらすだろう。

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