Nature ハイライト
Cover Story:燃料産生細胞:再生可能な資源からガソリンを作り出す改造細菌
Nature 502, 7472
表紙は、細胞内の代謝経路を石油生産プラントになぞらえたイラストである。原油価格の高騰と化石資源の枯渇は、再生可能な資源からの持続可能なバイオ燃料生産に関する広範囲にわたる研究を活気づけている。組換え微生物は選択肢の1つだが、C4からC12までの軽い液体炭化水素の混合物であるガソリンの微生物による生産はこれまでのところ実現していない。その一因は、細胞の代謝が主として長鎖脂肪酸とその誘導体の生産に好都合となっていることである。今回、Y ChoiとS Leeは、短鎖アルカン、遊離脂肪酸、脂肪酸エステルや脂肪族アルコールを生産するように遺伝子操作された大腸菌株群について報告している。最終的に得られた組換え株は、1 リットル当たり580.8 mgもの短鎖アルカンを生産し、その主成分はノナンおよびドデカンであった。今回発表された代謝経路操作戦略は、多数の有用な産業用燃料やおよび化学物質として短鎖脂肪酸やその誘導体を生産する微生物の設計に有用と考えられる。
2013年10月24日号の Nature ハイライト
神経科学:新たな角度から昆虫忌避剤を探索
細胞:ニッチ内の位置は幹細胞の運命に重要
分子生物学:box C/D酵素が行う連続的メチル化の機構
宇宙:確認された最も遠方の星形成銀河
物性物理学:超伝導体のギャップの理解を深める
材料科学:マイクロ波耐性絶縁体
古生物学:歯の進化的起源
生理:肝臓でのエネルギー代謝の調節
医学:ヒトMX2タンパク質はHIV-1抵抗性因子である