Nature ハイライト
有機化学:カルビン等価体を合成するための触媒的手法
Nature 554, 7690
カルベンは、2つの結合、1つの孤立電子対、1つの空軌道を有する炭素種であり、長年にわたってC–H結合の官能基化などの触媒反応に用いられてきた。これに対して、非結合電子を3つ持つ1価の炭素種であるカルビンは、並外れて反応性が高いため、合成化学分野では比較的調べられていない。今回M Sueroたちは、可視光を用いてカルビン等価体としてジアゾメチルラジカルを生成する光触媒的手法を報告している。この手法によって、芳香族C–H結合の官能基化が可能になり、さまざまな医薬関連化合物でこの手法が実証されている。今回の手法は、ジアゾ官能基ハンドルをそのまま残すことから「アセンブリーポイント」官能基化と名付けられ、これによって同一炭素に3つの異なる官能基の導入が可能になる。単一の中間体から、化学工業原料を用いてより複雑なさまざまなキラル分子を容易に組み立てることができる。
2018年2月1日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:再生するプラナリアのゲノム再解読
天文学:白色矮星のコア
材料科学:電子の届く距離
工学:さまざまな様式で移動できるロボット
有機化学:カルビン等価体を合成するための触媒的手法
古気候学:過去の気候を示す保存された花粉
人類学:アフリカを出てアジアへ
発生生物学:頭蓋顔面発生におけるRNAに関連した調節
海洋ウイルス学:海の微生物の消失要因
分子生物学:ミトコンドリアでの翻訳に葉酸が果たす役割