Nature ハイライト
海洋ウイルス学:海の微生物の消失要因
Nature 554, 7690
二本鎖DNA(dsDNA)ウイルスは、尾部を持つウイルスと持たないウイルスの両方を含んでおり、地球上で最も数が多いウイルスだと考えられている。尾部を持つカウドウイルス目(Caudovirales)のウイルスは、塩基配列コレクションおよび培養コレクションでは抜群に多いのに対して、海洋から採取されたサンプル中では尾部を持たないdsDNAウイルスが優勢であることが多い。だが、その性質はこれまでほとんど調べられていなかった。M Polzたちは今回、Autolykiviridaeと命名した、尾部を持たない多様な海洋ウイルスの新規な科を発見したことを報告している。メタゲノミクスおよび系統発生学的解析から、AutolykiviridaeがDJR(double jelly roll)キャプシドウイルスの古代系統に当たることが分かった。また、これらのウイルスは海洋に豊富に存在し、海洋細菌やアーキアを消失させていることも明らかになった。今回の結果は、環境中のウイルスを発見するための最新の方法に助けられたものであり、環境中の細菌–ウイルス間の相互作用の解明を進めるための重要な一歩といえる。
2018年2月1日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:再生するプラナリアのゲノム再解読
天文学:白色矮星のコア
材料科学:電子の届く距離
工学:さまざまな様式で移動できるロボット
有機化学:カルビン等価体を合成するための触媒的手法
古気候学:過去の気候を示す保存された花粉
人類学:アフリカを出てアジアへ
発生生物学:頭蓋顔面発生におけるRNAに関連した調節
海洋ウイルス学:海の微生物の消失要因
分子生物学:ミトコンドリアでの翻訳に葉酸が果たす役割