Nature ハイライト
材料科学:結晶の誕生を観察する
Nature 556, 7699
今回M Sleutelたちは、極低温(クライオ)透過型電子顕微鏡観察を行い、タンパク質結晶の誕生(すなわち核形成)と、その結晶核が異なる2つの結晶構造と1つの無秩序ゲル状体へと成長する過程を調べた。2つの結晶多形は、固有の構成要素で核を形成する独特な核形成経路を示した。柱状多形とゲル状態の前駆体はどちらも同じファイバー状であり、ゲルの断片から新たに柱状結晶が成長した。著者たちは、分子間結合モードを解析し、モノマー間の等方的な引力に対する異方的な引力の相対的強さを調節することによって多形を選択的に形成できることを見いだした。従って、部位特異的変異導入によって特定の接触部位における引力の強さを調節して、特定の多形の成長を止めることが可能になった。著者たちは、今回の知見が、医学、構造生物学、タンパク質系薬物送達への応用において興味深い新しい多形選択戦略につながる可能性があると期待している。
2018年4月5日号の Nature ハイライト
物性物理学:ねじれグラフェンが電子の相互作用を強くする
構造生物学:RAGAに作用するGTPアーゼ活性化タンパク質を抑制する
天文学:銀河系中心にある多くのブラックホール
材料科学:結晶の誕生を観察する
水文学:河川工事によってミシシッピ川の増水が悪化する
微生物学:持続生残細菌に効く薬剤
免疫学:イタコン酸の抗炎症効果
構造生物学:インスリンが結合したインスリン受容体の構造
構造生物学:マウス二孔型チャネルの構造