Nature ハイライト
免疫学:イタコン酸の抗炎症効果
Nature 556, 7699
マクロファージは、侵入してきた病原菌を認識・排除して、その後、炎症を減弱させて組織修復を可能にする白血球である。内因性代謝産物であるイタコン酸は、マクロファージ活性化の際に、複数の炎症性サイトカインを阻害する。L O'Neillたちは今回、この過程の背後にある機構を調べた。リポ多糖(LPS)で活性化させたマクロファージを、細胞透過性のイタコン酸誘導体である4-オクチルイタコン酸で処理すると、抗酸化および抗炎症性転写因子であるNrf2が活性化された。この活性化は、KEAP1タンパク質の重要なシステイン残基のアルキル化を介して起こり、この修飾はKEAP1によるNrf2のタンパク質分解を阻害する。イタコン酸誘導体を前投与したLPSマウスモデルではNrf2が活性化され、LPSの致死量投与後の生存が延長した。著者たちは、イタコン酸誘導体が炎症性疾患の治療に有用である可能性を示唆している。
2018年4月5日号の Nature ハイライト
物性物理学:ねじれグラフェンが電子の相互作用を強くする
構造生物学:RAGAに作用するGTPアーゼ活性化タンパク質を抑制する
天文学:銀河系中心にある多くのブラックホール
材料科学:結晶の誕生を観察する
水文学:河川工事によってミシシッピ川の増水が悪化する
微生物学:持続生残細菌に効く薬剤
免疫学:イタコン酸の抗炎症効果
構造生物学:インスリンが結合したインスリン受容体の構造
構造生物学:マウス二孔型チャネルの構造