Nature ハイライト
構造生物学:RAGAに作用するGTPアーゼ活性化タンパク質を抑制する
Nature 556, 7699
mTORC1は主要な増殖調節因子の1つであって、アミノ酸やグルコースなどの栄養素が送るシグナルを感知して多数の細胞過程を協調させる。mTORC1を調節しているのはRag GTPアーゼであり、Rag GTPアーゼもまた、複数のタンパク質複合体によって調節されている。その中の1つのGATOR1は、RAGAに対するGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)として働く。今回D Sabataniたちはクライオ(極低温)電子顕微鏡を使って、GATOR1の構造に加えてRag GTPアーゼに結合したGATOR1の構造を決定し、さらに生化学実験を行ってGAPの機能を調べた。GATOR1は伸びた構造をとっていて、NPRL2サブユニットが他の2つのサブユニットDEPDC5とNPRL3を連結している。今回得られたGATOR1–Rag GTPアーゼ構造は予想外なことに阻害型で、DEPDC5とRAGAとの相互作用がGATOR1のGAP活性を阻害している。一方、NPRL2–NPRL3ヘテロ二量体とRAGAとの間の相互作用はこれよりも弱く、この場合はGAP機能が発揮される。このような阻害機構が、他のGAPで観察されたことはこれまでなかった。
2018年4月5日号の Nature ハイライト
物性物理学:ねじれグラフェンが電子の相互作用を強くする
構造生物学:RAGAに作用するGTPアーゼ活性化タンパク質を抑制する
天文学:銀河系中心にある多くのブラックホール
材料科学:結晶の誕生を観察する
水文学:河川工事によってミシシッピ川の増水が悪化する
微生物学:持続生残細菌に効く薬剤
免疫学:イタコン酸の抗炎症効果
構造生物学:インスリンが結合したインスリン受容体の構造
構造生物学:マウス二孔型チャネルの構造