Nature ハイライト
構造生物学:LRRC8Aの構造
Nature 558, 7709
容積感受性陰イオンチャネル(VRAC)は、浸透圧膨張に対する細胞応答の重要な要素である。このようなチャネルはLRRC8(leucine-rich repeat-containing protein 8)A、およびそれと近縁の小孔形成サブユニットから構成され、これらがヘテロマーチャネルを形成していることが最近明らかにされた。今回、R Dutzlerたちは、チャネルに不可欠のLRRC8Aサブユニットから形成されるVRACの構造を、X線結晶学の手法とクライオ(極低温)電子顕微鏡法を使って明らかにした。6個のサブユニットが作る細胞質側ドメインは、膜貫通部分に見られる対称性を破る構造となっていて、3個の二量体が三量体を形成している。今回の研究によって、小型の細胞外ドメインは陰イオンを選択的に透過させるのに重要な選択性フィルターであることが明らかになった。多様なVRACアイソフォームの構造やその機能が果たす役割を明らかにするにはさらなる研究が必要だが、ヘテロマーの1つのLRRC8A/Cのすでに得られている低分解能構造から、その配置が今回のホモ六量体と似ていることが予想される。
2018年6月14日号の Nature ハイライト
微生物生態学:ヨーロッパの外生菌根菌多様性の駆動要因を明らかにする
生化学:ヒトリボソームサブユニットの集合過程を可視化
構造生物学:LRRC8Aの構造
量子物理学:決定論的な量子エンタングルメント
量子物理学:効率の高い量子リンク
古生物学:小惑星衝突地点での生命の急速な回復
神経科学:記憶エングラムには安定なものと動的なものがある
心血管疾患:酸化型LDLの阻害はアテローム性動脈硬化を防ぐ
腫瘍免疫学:CD19標的CAR T細胞療法ではTET2の破壊が抗腫瘍活性を誘発する
生物物理学:酵素の進化機構としての動的アロステリー