Nature ハイライト
古生物学:小惑星衝突地点での生命の急速な回復
Nature 558, 7709
約6600万年前に起こった白亜紀末の大量絶滅では、非鳥類恐竜類、翼竜類、大型海生爬虫類、アンモナイト類など、地球上の全生物種の実に4分の3が絶滅した。この絶滅事象は、メキシコ湾南部のユカタン炭酸塩プラットフォームに小惑星が衝突して引き起こされたもので、この衝突によってチクシュルーブ衝突クレーター(現在は海底に埋もれている)が形成された。一次生産力が衝突前のレベルまで回復するには30万年を要したが、果たして衝突地点の状況はどうだったのか。衝突地点に近いほど回復に時間がかかったのではないかという説もあるが、C Loweryたちは今回、クレーター内部では衝突から数年以内に生命が戻っていたことを明らかにしている。チクシュルーブ衝突クレーターには、衝突からわずか3万年後に生産力の高い豊かな生態系が存在していた可能性があり、これは年代が白亜紀/古第三紀境界付近と推定される他の多くの地域での回復時間よりもはるかに早い。この結果は、クレーターとの近さが回復に対する重大な制御要因ではなかったことを示している。
2018年6月14日号の Nature ハイライト
微生物生態学:ヨーロッパの外生菌根菌多様性の駆動要因を明らかにする
生化学:ヒトリボソームサブユニットの集合過程を可視化
構造生物学:LRRC8Aの構造
量子物理学:決定論的な量子エンタングルメント
量子物理学:効率の高い量子リンク
古生物学:小惑星衝突地点での生命の急速な回復
神経科学:記憶エングラムには安定なものと動的なものがある
心血管疾患:酸化型LDLの阻害はアテローム性動脈硬化を防ぐ
腫瘍免疫学:CD19標的CAR T細胞療法ではTET2の破壊が抗腫瘍活性を誘発する
生物物理学:酵素の進化機構としての動的アロステリー