Nature ハイライト
生物物理学:酵素の進化機構としての動的アロステリー
Nature 558, 7709
生物に不可欠な酵素の極端な温度への適応に関連するアミノ酸配列変化は、奇妙なことに、基質結合部位や触媒部位から離れた、酵素表面の遠位部位で見つかることが多い。今回、V Hilserたちは、細菌のアデニル酸キナーゼのこのような遠位部位にエントロピーを変化させる変異を導入することで、タンパク質の動態に基づいたアロステリックな微調整機構の存在を明らかにした。また、基質親和性や酵素の代謝回転といった重要なパラメーターが空間的に分離していることも明らかになった。動的なアロステリー、つまりアロステリック効果は、酵素の基本的な定常状態の構造を変えることなくその生物学的機能を微調整できる一般的な進化機構であると、著者たちは考えている。
2018年6月14日号の Nature ハイライト
微生物生態学:ヨーロッパの外生菌根菌多様性の駆動要因を明らかにする
生化学:ヒトリボソームサブユニットの集合過程を可視化
構造生物学:LRRC8Aの構造
量子物理学:決定論的な量子エンタングルメント
量子物理学:効率の高い量子リンク
古生物学:小惑星衝突地点での生命の急速な回復
神経科学:記憶エングラムには安定なものと動的なものがある
心血管疾患:酸化型LDLの阻害はアテローム性動脈硬化を防ぐ
腫瘍免疫学:CD19標的CAR T細胞療法ではTET2の破壊が抗腫瘍活性を誘発する
生物物理学:酵素の進化機構としての動的アロステリー