Nature ハイライト

アルツハイマー病:ニューロンにおける体細胞遺伝子組換え

Nature 563, 7733

ニューロンの多様性を生み出す基盤については、ほとんど分かっていない。抗体の多様性が免疫グロブリン遺伝子の再構成によって生み出されることが示されているのと同様に、ニューロンの多様性は遺伝子組換えによって生じている可能性があると長らく考えられてきた。しかし、過去50年以上にわたる協調的な研究にもかかわらず、ニューロンでの遺伝子組換えは実証されていなかった。J Chunたちは今回、ヒトのニューロンにおいて、アミロイド前駆体タンパク質(APP)をコードする遺伝子の体細胞遺伝子組換えについて初めて報告している。数千種類の「ゲノム由来DNA(gencDNA)」バリアントが、正常脳と孤発性アルツハイマー病患者の脳においてモザイク状に見られた。in vivoにおいては、アルツハイマー病のマウスモデルで、APP gencDNAの形成は、加齢とともにニューロン内のみで増加することが示された。概念実証実験に用いられた孤発性アルツハイマー病の患者のコホートでは、全ての試料でAPP gencDNAの量や多様性の増加が見られ、新たな発症機序の可能性が示唆された。これらの知見は、体細胞、特に脳細胞では、これまでに考えられていたよりもずっと高い割合でゲノム多様性が生じるという考えを支持する。

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