Nature ハイライト
微生物学:MRSAはグリカンを変化させて免疫を回避する
Nature 563, 7733
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染は臨床における重大な問題である。今回、医療関連MRSAおよび家畜関連MRSAが適応免疫を回避できるようになる、新規な機構が報告された。プロファージにコードされていてファージ感染により交換される、今まで知られていなかったグリコシルトランスフェラーゼが、この研究によって見つかり、構造的特徴と機能的特徴の両方が明らかにされた。この新しい酵素は、細胞壁テイコ酸(WTA)のリビトールリン酸(RboP)の反復単位のC4ではなく、C3にβ糖鎖修飾を行うことでWTAの糖鎖修飾パターンをわずかに変化させ、これによってマウスでは防御的抗体応答の誘導が大幅に低下する。この結果はまた、ヒト循環血中には1種類のWTAに対する抗体だけが存在し、それとは異なるWTAに対する抗体が存在しないことと一致している。新規な酵素は、ドイツの医療関連MRSA分離株の70~80%、デンマークの家畜関連MRSA分離株の40%で発現が見られる。
2018年11月29日号の Nature ハイライト
アルツハイマー病:ニューロンにおける体細胞遺伝子組換え
機能ゲノミクス:二本鎖切断の修復結果を予測する
植物科学:ストリゴラクトン認識は複雑な過程である
天体物理学:クエーサーの中心部を見る
量子物理学:音響の量子制御
気候科学:海洋と大気の経路によって南極大陸へ伝わった北半球の気候の急激な変化
古人類学:ネアンデルタール人の生活はそれほど過酷ではなかった
発生生物学:外有毛細胞と内有毛細胞の分化
発生生物学:Heliosは聴覚に必要である
微生物学:MRSAはグリカンを変化させて免疫を回避する
がん:マンノースで腫瘍増殖を抑える