Nature ハイライト
Cover Story:自然界にない選択:微生物の酵素の指向性進化が炭素–炭素結合形成への新たな道を開く
Nature 565, 7737
触媒によって炭素–水素結合を炭素–炭素結合で置換することは、有機分子を合成する魅力的な戦略である。今回F Arnoldたちは、シトクロムP450を進化させて、細菌内でこの変換を行えることを報告している。この鉄ヘム酵素は、sp3 C–H混成結合へのカルベンの挿入を触媒し、高いエナンチオ選択性でアルキル化生成物を生成する。今回の結果は、鉄を使ってこの困難な反応を実現できることを明らかにしており、これまでこうした官能基化に用いられていたロジウムやイリジウムなどの微量元素を鉄に置き換えることができる可能性を示している。自然の化学的レパートリーにはカルベンC–H挿入は含まれていないが、微生物内で産生される既存の酵素を修正して、こうした非生物的反応を行わせることができる。
2019年1月3日号の Nature ハイライト
電子デバイス:スピントロニクス論理で計算する
構造生物学:プロテアソームがとる7つの状態のクライオ電子顕微鏡構造
物性物理学:トポロジカル相の超高速制御
氷河学:グリーンランドの融解水がメタンを大気に放出させる
考古学:東洋のルヴァロワ
神経科学:平行した経路が疼痛経験に対して異なる行動応答を駆動する
植物科学:親世代の形質を保持するクローンイネ
生化学:代謝で腎臓損傷を予防
タンパク質設計:設計して作られたタンパク質ペア
化学生物学:アシル中間体を捕捉する