Nature ハイライト
電池:グラファイトインターカレーションカソードの大容量化
Nature 569, 7755
リチウムイオン電池の有機電解液は可燃性なので、全固体デバイスや水系電解液を用いることによってリチウムイオン電池の安全性を高めることができる。一般的に水系電解液を用いると、電気化学的に安定した電位窓が狭くなり、携帯型電子機器に現在用いられているリチウムイオン電池と比べて、電池のエネルギー密度が低くなる。今回C Wangたちは、臭化物イオン(Br−)と塩化物イオン(Cl−)のアニオン酸化還元反応を用いることによって、水系リチウムイオン電池のエネルギー密度を高める方法を開発している。この反応では、臭化物イオンと塩化物イオンが酸化されてグラファイトにインターカレートされる。グラファイトとLiBr/LiClの複合カソードと、過去に報告された高濃度水系電解液「water-in-salt」、グラファイトアノードを組み合わせることによって、大半の水系セルおよび非水系セルよりも容量が大きい4.0 Vセルが得られた。
2019年5月9日号の Nature ハイライト
核物理学:固体キセノン中のバリウム原子を見つける
ナノテクノロジー:脳に着想を得た光コンピューティング
地球水文学:人為的な河川系の改変によって劇的に減少した自由に流れる河川の数
幹細胞:骨髄環境を単一細胞レベルで特徴付ける
神経科学:熱産生脂肪組織の神経支配機構
電池:グラファイトインターカレーションカソードの大容量化
肥満:農村部と都市部での肥満の比較
分子生物学:液–液相分離の制御因子
がん:乳がんにおいて細胞極性とがん代謝を結び付ける
分子神経科学:プロトカドヘリンを介したニューロンの自己認識機構
構造生物学:分子レベルでの不眠症治療薬の設計