Nature ハイライト
構造生物学:分子レベルでの不眠症治療薬の設計
Nature 569, 7755
メラトニンは松果体でセロトニンから作られるホルモンで、睡眠–覚醒サイクルの制御を助けている。今回V Cherezovたちは、メラトニンの標的であるMT1受容体とMT2受容体について、メラトニン類似体や不眠症治療薬と複合体を形成した状態の構造をX線自由電子レーザー結晶構造解析により明らかにしている。これらの構造から、セロトニン受容体との相当な違いが判明し、MT1受容体およびMT2受容体へのリガンドの進入は共に、脂質二重層につながる狭い通路を介して起こることが分かった。また、MT2受容体には細胞外部に向いた開口部があることも分かった。これらの構造は、睡眠障害の治療薬だけでなく、がんや2型糖尿病の治療薬を設計する際の基盤となるだろう。
2019年5月9日号の Nature ハイライト
核物理学:固体キセノン中のバリウム原子を見つける
ナノテクノロジー:脳に着想を得た光コンピューティング
地球水文学:人為的な河川系の改変によって劇的に減少した自由に流れる河川の数
幹細胞:骨髄環境を単一細胞レベルで特徴付ける
神経科学:熱産生脂肪組織の神経支配機構
電池:グラファイトインターカレーションカソードの大容量化
肥満:農村部と都市部での肥満の比較
分子生物学:液–液相分離の制御因子
がん:乳がんにおいて細胞極性とがん代謝を結び付ける
分子神経科学:プロトカドヘリンを介したニューロンの自己認識機構
構造生物学:分子レベルでの不眠症治療薬の設計