Nature ハイライト
物性物理学:グラフェンにおけるスピン–軌道結合に基づくトポロジカル相
Nature 571, 7763
グラフェンの電子バンド構造を調整することによって、例えばねじれ二層グラフェンにおける超伝導のような、通常とは異なる特性が現れる。グラフェンのバンド構造を変化させる別の方法は、トポロジカル絶縁体の観測に必要なバンド反転の主要因である弱い固有スピン–軌道結合を増強することである。今回A Youngたちは、ファンデルワールスヘテロ構造における近接効果によってより強いスピン–軌道結合を誘起し、その結果として二層グラフェンに生じたバンド反転と非圧縮性ギャップ相を観測している。著者たちは電場を用いて、自明な絶縁体相と、スピンフィルターされたエッジ状態を特徴とする新しい相の間の転移を調整した。今回の結果によって、脆弱なトポロジーの実験的証拠が初めて示され、グラフェンにおけるスピン–軌道効果の探究が可能になった。
2019年7月4日号の Nature ハイライト
進化発生生物学:アロメトリーではなく産卵生態と関連付けられた昆虫の卵のサイズ
分子生物学:DNAの損傷がヌクレオソームをこっそり滑らせる
物性物理学:グラフェンにおけるスピン–軌道結合に基づくトポロジカル相
工学:励起子によるシリコン太陽電池の効率の向上
計算材料科学:行間を読む
生態学:鳥類の侵入に対する環境的制約
発生生物学:水圧が胚の発生を支配する?
幹細胞:血液幹細胞の増殖
免疫学:性器ヘルペスウイルス感染における防御機構
腫瘍生物学:UDPグルコースは腫瘍抑制性代謝物である