Nature ハイライト
生態学:鳥類の侵入に対する環境的制約
Nature 571, 7763
外来種の個体群は増加の一途をたどり、その速度はますます高まっている。しかし、新たな場所で存続可能な個体群の確立に成功する外来生物と、それに失敗する外来生物がいる理由は、いまだ明らかにされていない。今回T Blackburnたちは、708種の鳥類による4346件の導入事象についての全球的なデータを調べ、導入の成功を左右する決定要因を評価した。その結果、外来個体群の確立の成功においては環境が最も重要な決定要因となることが明らかになった。つまり、環境条件が当該種の本来の生息域によく似ている場所で確立の成功率が最も高かったのである。同じく重要なのは他の外来種の存在で、すでに他の外来種集団が存在する場所では、新たな導入種の個体群確立の成功が促進されることが分かった。この知見は、現在の人為的な環境変化の軌跡が将来の外来種の侵入を促進する可能性が極めて高いことを示唆している。
2019年7月4日号の Nature ハイライト
進化発生生物学:アロメトリーではなく産卵生態と関連付けられた昆虫の卵のサイズ
分子生物学:DNAの損傷がヌクレオソームをこっそり滑らせる
物性物理学:グラフェンにおけるスピン–軌道結合に基づくトポロジカル相
工学:励起子によるシリコン太陽電池の効率の向上
計算材料科学:行間を読む
生態学:鳥類の侵入に対する環境的制約
発生生物学:水圧が胚の発生を支配する?
幹細胞:血液幹細胞の増殖
免疫学:性器ヘルペスウイルス感染における防御機構
腫瘍生物学:UDPグルコースは腫瘍抑制性代謝物である