Nature ハイライト

生態学:鳥類の侵入に対する環境的制約

Nature 571, 7763

ホシムクドリ(<i>Sturnus vulgaris</i>)はヨーロッパ原産だが、現在では南アフリカ、ニュージーランド、北米など、世界各地に外来種として分布している。特に北米への導入は、この鳥がシェークスピアの作品に登場することが理由であった。
ホシムクドリ(Sturnus vulgaris)はヨーロッパ原産だが、現在では南アフリカ、ニュージーランド、北米など、世界各地に外来種として分布している。特に北米への導入は、この鳥がシェークスピアの作品に登場することが理由であった。 | 拡大する

Credit: Tim M Blackburn

外来種の個体群は増加の一途をたどり、その速度はますます高まっている。しかし、新たな場所で存続可能な個体群の確立に成功する外来生物と、それに失敗する外来生物がいる理由は、いまだ明らかにされていない。今回T Blackburnたちは、708種の鳥類による4346件の導入事象についての全球的なデータを調べ、導入の成功を左右する決定要因を評価した。その結果、外来個体群の確立の成功においては環境が最も重要な決定要因となることが明らかになった。つまり、環境条件が当該種の本来の生息域によく似ている場所で確立の成功率が最も高かったのである。同じく重要なのは他の外来種の存在で、すでに他の外来種集団が存在する場所では、新たな導入種の個体群確立の成功が促進されることが分かった。この知見は、現在の人為的な環境変化の軌跡が将来の外来種の侵入を促進する可能性が極めて高いことを示唆している。

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