Nature ハイライト

工学:励起子によるシリコン太陽電池の効率の向上

Nature 571, 7763

典型的な太陽電池では、吸収されるおのおのの光子に対して、多くても一対の電子–正孔対(励起子)しか生成できない。高エネルギー光子によって生成された「一重項」励起子を、2個の「三重項」励起子へと変換できる、一重項励起子分裂という分子過程が存在する。この過程を太陽電池に利用できれば、太陽電池のエネルギー変換効率を大幅に向上できる可能性がある。今回M EinzingerとM Baldoたちが、この方向での重要な一歩となる成果を報告している。彼らは、分子発色団の層において一重項励起子分裂によって生成される三重項励起子が効率よくシリコンプラットフォームへ移動するように、適切に不動態化したシリコン基板と分子層を結合させることで、典型的な太陽電池構成を使って三重項励起子を利用できる方法を示した。

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