Nature ハイライト
免疫学:性器ヘルペスウイルス感染における防御機構
Nature 571, 7763
性感染症(STI)に対するワクチンは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)や単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)などによる一般的なSTIの拡大を防ぐことができていない。岩崎明子(米国エール大学医学系大学院ほか)たちは今回、性器ヘルペスウイルス感染マウスモデルを用いて、弱毒化したHSV-2による初回免疫では、記憶B細胞や形質細胞が、脾臓や循環血中に高レベルで見られるにもかかわらず、雌性生殖管には誘導されないことを示している。しかし、次に野生型HSV-2を感作すると、循環血中の記憶B細胞の雌性生殖管への迅速な誘導とウイルス特異的抗体の分泌が促進された。この研究から、STIワクチンの成功を決定する要因は血清抗体価に依存していないこと、また、雌性生殖管に記憶B細胞を誘導できるワクチン接種戦略開発の必要性が示された。
2019年7月4日号の Nature ハイライト
進化発生生物学:アロメトリーではなく産卵生態と関連付けられた昆虫の卵のサイズ
分子生物学:DNAの損傷がヌクレオソームをこっそり滑らせる
物性物理学:グラフェンにおけるスピン–軌道結合に基づくトポロジカル相
工学:励起子によるシリコン太陽電池の効率の向上
計算材料科学:行間を読む
生態学:鳥類の侵入に対する環境的制約
発生生物学:水圧が胚の発生を支配する?
幹細胞:血液幹細胞の増殖
免疫学:性器ヘルペスウイルス感染における防御機構
腫瘍生物学:UDPグルコースは腫瘍抑制性代謝物である