Nature ハイライト
細胞生物学:ミトコンドリアの恒常性を支える新技
Nature 575, 7782
ミトコンドリアが損傷したり機能を失ったりすると、細胞はマイトファジーと呼ばれる過程を経てこの小器官を廃棄して、恒常性を回復する。今回Z Aranyたちは、Parkinに依存したマイトファジーに関わる新たな因子を突き止めるため、CRISPR–Cas9を用いた遺伝子スクリーニングを行った。多数の新しい因子の中から特定されたのがアデニンヌクレオチド交換輸送体(ANT)複合体で、これはヌクレオチドの交換輸送体としての輸送活性でよく知られている。しかし著者たちは、ANTのこの機能はマイトファジーには必要ないことを見いだした。そうではなく、ANT複合体はTIM44タンパク質と相互作用して、ミトコンドリア内部へのタンパク質の輸送を行う交換輸送体TIM23を阻害する。この結果、PINK1が安定化されて、マイトファジーの進行が可能になる。
2019年11月14日号の Nature ハイライト
高エネルギー物理学:反物質と暗黒物質の出合い
応用光学:究極のタッチスクリーンか
材料科学:ソフトな人工筋肉によるマイクロロボットの離昇
工学:多くのノズルで簡単に印刷
気候科学:後退する氷河による水力発電の可能性
自己免疫:TLR7とTLR9の応答調節
細胞生物学:ミトコンドリアの恒常性を支える新技
がん:ミトコンドリア機能のin vivo画像化
免疫学:コヒーシンを介する抗体クラススイッチ組換え
分子生物学:クロマチン凝縮の動態
構造生物学:ゲートを通して見えたもの