Nature ハイライト

細胞生物学:ミトコンドリアの恒常性を支える新技

Nature 575, 7782

ミトコンドリアが損傷したり機能を失ったりすると、細胞はマイトファジーと呼ばれる過程を経てこの小器官を廃棄して、恒常性を回復する。今回Z Aranyたちは、Parkinに依存したマイトファジーに関わる新たな因子を突き止めるため、CRISPR–Cas9を用いた遺伝子スクリーニングを行った。多数の新しい因子の中から特定されたのがアデニンヌクレオチド交換輸送体(ANT)複合体で、これはヌクレオチドの交換輸送体としての輸送活性でよく知られている。しかし著者たちは、ANTのこの機能はマイトファジーには必要ないことを見いだした。そうではなく、ANT複合体はTIM44タンパク質と相互作用して、ミトコンドリア内部へのタンパク質の輸送を行う交換輸送体TIM23を阻害する。この結果、PINK1が安定化されて、マイトファジーの進行が可能になる。

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